


2025.10.19
お母さん美容室、閉店の日
先日、小学4年生の三女・アサが、数年ぶりに髪を切った。
ずっと伸ばしっぱなしだったこともあって、髪はバサバサ。洗うのもまとめるのも一苦労。
妻が「切ってあげようか?」と何度も声をかけても、アサは頑として拒否し続けていた。
うちでは子どもが生まれてからというもの、三人の娘たちの髪はずっと妻が切ってきた。
素人ながら腕もなかなかで、三女のアサの散髪には、上の二人の姉た ちも毎回参加するほど。
ちょっとしたイベントのような雰囲気で、家で髪を切るのが「当たり前」になっていた。
だからこそ、なぜ今回はアサがあんなに拒むのか、妻も僕も不思議で仕方なかった。
そんな中、次女にそれとなく聞いてみたところ、
「ちゃんとお店で切ってもらいたいんじゃない?お母さん、前髪いつも切りすぎるし」
と、ズバリ一言。
そう言われてみると、確かに僕らがかわいいと思う前髪や髪型を良かれと思い強要していたかもしれない?
妻がアサに聞いてみると、
「お店で切ってみたい!」とあっさり返事が返ってきた。
後日、アサは念願のお店デビューを果たし、満足そうな笑顔で帰ってきた。
妻は少しショックだったようだけど、こんな些細なことからも、子どもは少しずつ親から自立していくんだなと、成長をしみじみと感じた。
こうして、18年にわたって三姉妹の髪を切り続けてきた「お母さん美容室」は、静かにその役割を終えたのだった。


2025.10.16
カレンダー 「LONG SEASON」 OCTOBER
散歩で入った森の中、偶然拾った赤い実を耳元へ。
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CALENDER LONG SEASON
OCTOBER
だまっていたウソが
かなしみをたべて
あかい実つけた。
詩 :土屋 誠 @beek_magazine
写真:砺波周平 @tonamishuhei
印刷:藤原印刷 @fujiwara_printing















2025.04.14
花を生ける
あいにくの雨降りの日曜日、三女と二人で過ごすことになった。
次女は修学旅行、妻と長女は卒業袴(来年三月の)を選んでくるという。
友人の本屋さんがイベントをやるとのことで
三女と遊びに行ってみることにした。
古道具と花屋さんが出店していたので、
可愛い花瓶を買い、それに合う花を見繕ってもらった。
長年田舎で暮らしていると花は散歩の帰りがけに野花を積んで、
捨てずにとっておいた空き瓶に生けるという ものだと思い込んでいて、
花を買って飾ろうなんて思ったことはなかった。
以前、雑誌の特集で「あの人の花時間」という特集に携わったことがあり、
季節の花を馴染みの花屋で買ったり、ベランダのプランターに咲いた花を飾ったりと、
みんなそれぞれの生活スタイルに合わせて
花を楽しんでいることにカルチャーショックを受けたことがある。
そして何よりも、花を飾るということがこんなにも気分を変えるんだということにも驚いた。
早速家に戻って三女と一緒に、花瓶に買ってきた花を生けてみた。
雨降りの日曜日、見慣れた家が明るくなった気がした。






2025.04.13
カレンダー 「LONG SEASON」 APRIL
ちょうど地表が草の緑で覆われる頃にスッと立ち上がるように咲くマーガレットが昔から好きだ。
春の空気の中、この緑と白と黄色を見ると気持ちが前を向く。
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CALENDER LONG SEASON
APRIL
ふたつのまほう
ひとつはうまれる
ひとつはなくなる
詩 土屋 誠 @beek_magazine
写真 砺波周平 @tonamishuhei
印刷 藤原印刷 @fujiwara_printing










