お母さん美容室、閉店の日
お母さん美容室、閉店の日
お母さん美容室、閉店の日

2025.10.19

お母さん美容室、閉店の日

先日、小学4年生の三女・アサが、数年ぶりに髪を切った。
ずっと伸ばしっぱなしだったこともあって、髪はバサバサ。洗うのもまとめるのも一苦労。
妻が「切ってあげようか?」と何度も声をかけても、アサは頑として拒否し続けていた。

うちでは子どもが生まれてからというもの、三人の娘たちの髪はずっと妻が切ってきた。
素人ながら腕もなかなかで、三女のアサの散髪には、上の二人の姉たちも毎回参加するほど。
ちょっとしたイベントのような雰囲気で、家で髪を切るのが「当たり前」になっていた。
だからこそ、なぜ今回はアサがあんなに拒むのか、妻も僕も不思議で仕方なかった。

そんな中、次女にそれとなく聞いてみたところ、
「ちゃんとお店で切ってもらいたいんじゃない?お母さん、前髪いつも切りすぎるし」
と、ズバリ一言。
そう言われてみると、確かに僕らがかわいいと思う前髪や髪型を良かれと思い強要していたかもしれない?
妻がアサに聞いてみると、
「お店で切ってみたい!」とあっさり返事が返ってきた。

後日、アサは念願のお店デビューを果たし、満足そうな笑顔で帰ってきた。
妻は少しショックだったようだけど、こんな些細なことからも、子どもは少しずつ親から自立していくんだなと、成長をしみじみと感じた。

こうして、18年にわたって三姉妹の髪を切り続けてきた「お母さん美容室」は、静かにその役割を終えたのだった。