
2011.05.21
映画とこども
子どもが生まれてからというもの、映画をまともに見れたためしがない。
はなが大きくなり、ようやく映画館に行けるかも、と思った矢先、
二人目のはるが生まれ、映画はまた遠ざかってしまった。
とそんなとき、娘が通う幼稚園の先生のうれしい計らいで、
町の公民館の和室を借りて、子ども同伴映画館が一日限定で開館した。
(内容は原発関係のドキュメンタリー)
上映会に来ていたのはほとんどが子連れで、子どもたちだけで、15、6人いた。
はじまりこそ、子どもたちは母親の周りでじっとしていたけれど、
時が経つごとに一人、二人と外へ出て行く。
1時間あまりも経つと子どもたちは数人しか部屋に残って居なかった。
そんなとき妻が生後二ヶ月のはるのおむつを替えに外へ出た。
しばらくして、戻って来た妻を見ておどろいた。腕にはるを抱いていないのだ。
「5年生のmちゃんが見てくれてて、なんか大丈夫そうだよ」妻は言うが、
さすがにはるはまだ二ヶ月、面倒をみているのは5年生と言えど子ども。
やっぱりちょっと不安だ。そこで様子を見に外へ出てみた。
節電で薄暗い廊下を走り回る子どもたち。
そんななか、mちゃんがしっかりはるを抱いてあやしてくれている。
はるもぐずったりする様子はなく、むしろれしそう。
周りではaちゃんとaくん姉弟をはじめ、数人が取り囲みサポートしてくれている。
「大丈夫、映画見てきていいよ!」
小さなはるを中心に子どもたちは、少し得意げに僕の背中を上映室の方へ押す。
まぁ大丈夫か…。なんだかそう思えた。
それに子どもだけのその世界に、もう大人の居場所はなかった。
結局僕は彼らに任せて映画に戻ることにした。
だけど本当は、もう少しだけ彼らの姿を眺めていたかった。